2020年6月15日月曜日

ガハク55kg

いつでも測れるようにキッチンの隅に体重計が置いてある。今夜のガハクは何か直感していたらしい。夕飯直後に秤に乗るなり、「おゝ」と叫んだ。53をなかなか超えられなかったのに、突如55キロに急接近しているではないか!ついに倒れる前の体重まで回復した。
 さあ、これから先は新しい領域だ。食べたくなきゃ食べなくてもいいとか、お腹が減ったらそのうち食べるだろうとはもう思えなくなった。食べたいものや美味しいものが浮かばなくなったら、何かおかしなことが起きているということだ。

私は朝から歯が痛くて、冷たい氷水で口の中を冷やしては一口食べ、また冷やしてはもう一口という風にしか食事が摂れなかった。歯医者さんに電話をして診てもらったら、楔形欠損のせいだと判明。歯の根元の痩せているところをプラスチックパテで埋めてもらった。寒風に凍えていた体に温かいコートをかけてもらったみたいに、ぽーっと温かくなって痛みが引いて行った。おかげで夜は美味しく食べれた。

「石を彫っている時に歯を食い縛ってかなり力が入っているんじゃないでしょうか」と先生に言われた。そんなに意識していないけれど、そうかもしれない。大きなことや無謀なことや冒険を小さな体でやって来たからなあ。。。
「上の歯がぐっと押さえ付けるベクトルが働いて、下の歯はそれに反作用で押し返すわけです。その時にどこに一番力がかかるかと言うと、下の歯の根元のところなんです。凄い力に耐えているうちにぼろぼろと欠けてしまうんですね。そこに歯ブラシなどで削ったりしてだんだん細くなる。するとそこを包んでいたエナメル質の硬い部分が無くなって、滲みるんです。」と仰る。小さな痛みが体全体を固くする。強靭なアキレスの弱点は踵だった。

夕暮れにやっとアトリエに出かけた。天使の翼をさらに薄く彫り直して、満足して帰路についた。ガレージから出たら、空にピンク色の雲が乱れ飛び、トワンがはしゃいでいるように見えた。(K)

ガハクの山散歩の白い花⇩

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