若い頃の愛読書にリルケの芸術指南の言葉が載っていた。
才能というのは薪(だったか油?)のようなもので画家の中に密やかに貯蔵しなければいけない、その時がくれば他人より大きく積み上がったあなたの薪は燃え上がって他人の火を圧倒するだろう(…とかなんとか、もっとかっこいい詩的な言葉だったけど)
当時は真理に触れた時の感動と勇気を貰ったような気がしたが、今思えばくだらない説教だ。第一才能とか社会的成功とか名声とかそんなものを目標とすること自体望みが低いし卑しい、これじゃまるで子供だ。
それにお金を儲ける為にする事よりも、名誉とか名声を得ようとする事の方が悪いとはっきり知ったのは、あまり昔のことじゃなく恥ずかしいが、それまでは要するにオレは子供だったってことなんだ。
そういえば映画に新しく導入されたドルビーシステムをあんなのを使う彼らは子供なんだとゴダールは一蹴していた。
ニュースなどを見ていて思う。世の中子供クンが多すぎないか?(画)
2019年1月26日土曜日
2019年1月25日金曜日
鳥のような天使
鳥のような人にすれば、服を着ていなくても、裸にしなくてもいいわけだ。胸にはふっくらした羽毛の膨らみを与えて、腕や手の辺りはそっと後ろに回して体に添わせて流れるようにしたらどうだろう。男でも女でもない。
うちの庭にときどき現れる隣の猫は、隣の人たちにそっくりだ。やっぱり飼い主に似るものなんだなあ。だとしたら、トワンだってきっと私たちに似ていたはずで、そう考えるとなんだか生き易く思えて来た。
トワンのことを想いながら彫っていると、自然と天使になって来る。(K)
うちの庭にときどき現れる隣の猫は、隣の人たちにそっくりだ。やっぱり飼い主に似るものなんだなあ。だとしたら、トワンだってきっと私たちに似ていたはずで、そう考えるとなんだか生き易く思えて来た。
トワンのことを想いながら彫っていると、自然と天使になって来る。(K)
2019年1月24日木曜日
聖なるもの
ヴェーユに「人の中にある『聖なるもの』」という記述がある。
それはその人の身体にではないし人格にあるのでもない。むしろ非人格的なものだという。子供が算数の答えを間違えた時その過ちは人格性を帯びるが、正しい答えは非人格的になる。非人格的だからこそ『聖なるもの』なのだと。
芸術における『聖なるもの』もまた非人格的な領域にあるものだけだと。人格的なものとは次元が違うのだと。だから個人の感性と独創性によった表現の領域にとどまる限り『聖なるもの』にはなれないと。
そして、集団は決してそうはならない、孤独しかその領域に入る入り口を持たない。「われわれ」などという言葉は言ってはいけないよと。(画)
それはその人の身体にではないし人格にあるのでもない。むしろ非人格的なものだという。子供が算数の答えを間違えた時その過ちは人格性を帯びるが、正しい答えは非人格的になる。非人格的だからこそ『聖なるもの』なのだと。
芸術における『聖なるもの』もまた非人格的な領域にあるものだけだと。人格的なものとは次元が違うのだと。だから個人の感性と独創性によった表現の領域にとどまる限り『聖なるもの』にはなれないと。
そして、集団は決してそうはならない、孤独しかその領域に入る入り口を持たない。「われわれ」などという言葉は言ってはいけないよと。(画)
2019年1月23日水曜日
新しい顔
前の顔はすっかり削り落として、今夜から新しい顔を彫り始めた。
それにしても驚いたのは昨夜作った鉄ノミだ。とても切れ味が良い。30年かかって、やっと大理石シベックにぴったり合う焼き入れが見つかった。焼き締めれば良いだけだった。赤く焼いたノミを途中で引き上げることなく一気に、しかし徐々に水に沈めて行くやり方だ。硬く強く粘りのある焼き入れが、櫛歯ノミにも、平ノミにも出来ている。一本ずつ先端からゆっくり丁寧に水の中に沈めて冷却して行く方法は、時間はかかるけれど、考えてみれば理にかなっている。
他人の目の中のゴミのことより自分の目の中の丸太を取り除け!だ。昨日はドーナツも美味しくできたし、頑迷溶解記念日としてしっかり胸に刻んでおこう♪(K)
それにしても驚いたのは昨夜作った鉄ノミだ。とても切れ味が良い。30年かかって、やっと大理石シベックにぴったり合う焼き入れが見つかった。焼き締めれば良いだけだった。赤く焼いたノミを途中で引き上げることなく一気に、しかし徐々に水に沈めて行くやり方だ。硬く強く粘りのある焼き入れが、櫛歯ノミにも、平ノミにも出来ている。一本ずつ先端からゆっくり丁寧に水の中に沈めて冷却して行く方法は、時間はかかるけれど、考えてみれば理にかなっている。
他人の目の中のゴミのことより自分の目の中の丸太を取り除け!だ。昨日はドーナツも美味しくできたし、頑迷溶解記念日としてしっかり胸に刻んでおこう♪(K)
2019年1月22日火曜日
エヴァの目
蛇にそそのかされて知恵の木から実をとって食べた瞬間に、エヴァの開かれたその目は、人類の過酷な運命を見通した最初の「目」だった。
人の頭の形をどう捉えたらいいかと呻吟していたジャコメッティに最後は「人は目だ、目に全てがある。目さえ描ければ人の全てが描ける」とさえ言わせた「目」。
トワンの最後の眼差し。死の向こうから世界を見ているような「目」。
そんな「目」オレなんかに描けるわけないよ、と思いながら。(画)
人の頭の形をどう捉えたらいいかと呻吟していたジャコメッティに最後は「人は目だ、目に全てがある。目さえ描ければ人の全てが描ける」とさえ言わせた「目」。
トワンの最後の眼差し。死の向こうから世界を見ているような「目」。
そんな「目」オレなんかに描けるわけないよ、と思いながら。(画)
2019年1月21日月曜日
20年前の冒険の続き
『天界のゆめ』の背面に彫ってある白い人を彫り直し始めた。あの頃はこれで精一杯だった。すっかり顔を削り落として薄肉彫りでやれば、シルエットが花の中に溶け込むように刻めるはずだ。
まだよく見えていないのに彫り始めるところは、今も同じ。でも直覚に従って手が素直に動くようになったのと、それが良いものか悪いものかは識別できるようになったから大丈夫だ。さあ、ここが入り口だ。
見て信じる人より見ないで信じる人は幸いだと書いてある。(K)
まだよく見えていないのに彫り始めるところは、今も同じ。でも直覚に従って手が素直に動くようになったのと、それが良いものか悪いものかは識別できるようになったから大丈夫だ。さあ、ここが入り口だ。
見て信じる人より見ないで信じる人は幸いだと書いてある。(K)
2019年1月20日日曜日
変わりたい
老人なのだから衰えていくのは間違いない。しかし衰えは今に始まったことではない。肉体的精神的な衰えが始まったのは高校の時だ。中学の頃の活力と集中力が自分から遠のいて行くのがはっきり分かった。
成長なんてありえないし若い頃の活力を取り戻したいというのでもない。
今の自分を抜け出したいのだ。変わりたいのだ。絵を描いていると自分の限界というのを見せつけられているように感じる。もっといい絵を描きたいなら自分が変わらなくちゃいけない。その意味でも成長じゃない。変身?別の次元に飛ぶような感じ?そういう願望を常に持っている。
その方法をいつも考えながら絵を描いているのだ。(画)
成長なんてありえないし若い頃の活力を取り戻したいというのでもない。
今の自分を抜け出したいのだ。変わりたいのだ。絵を描いていると自分の限界というのを見せつけられているように感じる。もっといい絵を描きたいなら自分が変わらなくちゃいけない。その意味でも成長じゃない。変身?別の次元に飛ぶような感じ?そういう願望を常に持っている。
その方法をいつも考えながら絵を描いているのだ。(画)
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