とうとう夏風邪を引いてしまったので、今日は自転車は止してクルマにした。今年は虫も少ないような気がする。あまりにも暑いせいかな。耳元でぷ〜んと聞こえたら、蚊取り線香をポキッと5センチくらい折って火を点けておけば、そのうちいなくなる。床に転がっているカナブン、死んでいるのかと思ったらまだ動いていた。外に向かって放り投げたら、闇の中に吸い込まれて行った。(K)
2018年7月21日土曜日
2018年7月20日金曜日
少女
Sの葬式で出会った一人の女性が気になった。会場の隅のテーブルに独りポツンと座り誰からも離れている様子だった。少し会話をした。式が終わり椅子から立ち上がって初めて彼女が片脚に障害があるらしいのが分かった。年齢はSよりやや年下のようだった。彼女がSとどういう関係なのか聞いたはずだが覚えていない。それとも聞かなかったか。(画)
2018年7月19日木曜日
熱帯夜
陽が落ちてもなかなか気温が下がらない。異常な暑さだ。すっかり暗くなってからアトリエに出かけた。腕の後ろに赤鉛筆の印が残っていたから昨日やっていたことをすぐに思い出した。ここを明確にしたかったんだ。表側からは見えない場所の形まで見えるようになった。そこまで彫ることの労力や時間について何も考えなくなった。この人を徹底的に思う存分彫りたくなった。(K)
2018年7月18日水曜日
トワン
散歩中に出会った近所の老婦人が急にこちらに近づき、犬をチラッと見た後僕の顔を覗き込むようにして話しかけて来た。トワンがすかさず足元に寄って行き彼女を見上げた。手でその頭をなでながら「わたしは犬が好きじゃないんだけどこの子は平気だ、可愛いねえ、犬じゃないみたいだ」と言う。トワンにはそういう人が多い。
飼い主から見てもほんとにカワイイ。ただの普通の犬なんだけどね。(画)
飼い主から見てもほんとにカワイイ。ただの普通の犬なんだけどね。(画)
2018年7月17日火曜日
月の子
月からこぼれた光が小さな玉になって下りて来た。オレンジ色の光球だ。スーッとする匂いが辺りに満ちて、梢を支える枝がツンと氷のように固く青く引き締まる。砥石をかけながらそんなことを想っていると、ポツポツしていた雨がザーッと本気で降り出した。石を彫っていると浮かんでくる言葉や形は、自分で考えたものじゃない姿をしている。意識を元気付けて覚醒させてくれるのは、いつもそういうものたちだ。(K)
2018年7月16日月曜日
描き方
美術予備校生だった頃、野外風景の課題が出て石神井公園に油絵道具を持って出かけた。気のあったクラスメイトと二人で池の畔で描いたがさっぱり上手く描けない。見ると彼は画面全体を暗い緑で塗ってから、木の間から見える空を明るい色で描いていた。そうやって木と空を同時に描こうとしていた。その時まで僕には思いつかない描き方だった。
木を描くといつもその時の事を思い出す。画家にとって絵とは究極的には描き方でしかないんだよな。 (画)
木を描くといつもその時の事を思い出す。画家にとって絵とは究極的には描き方でしかないんだよな。 (画)
2018年7月15日日曜日
無垢な子
絵本の話は断ろうと思って待ち構えていたのだが、原稿を読んでみて一番不満だった部分について伝えたら、「実際にそういうことがあったんですよ」と返って来た。その部分は実話に基づいていた。何もないところからは何も生まれない。この人が書きたいことは、平凡だけど大事なことなんだろうな。じゃあ試しに一枚描いてみますかと言ったら、「いや1枚と言わずに2枚でも描いてみてくださいよ、一ヶ月後にまた寄りますから」と言い残して友人は帰って行った。夜のアトリエはカナブンだけじゃない。無垢な子も飛んでくる。(K)
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