2021年4月3日土曜日

68になった♪

 今朝はまずパン練りから始めた。それからスポンジケーキも焼いた。生クリームでガハクが描いてくれたのは、love、kyoko、トワンらしき犬の顔、ガハクと私の顔だった。細かいところはぐちゃぐちゃで分からないけど、そう思って眺めていると、だんだん人に見えて来るから面白い。

こういうイベント的なことを始めると、途中で疲れてイラついたりしたものだった。でも今日はずっと平和だ。すべてがここで始まりここで夕暮れになる。

やっと彫刻室の棚を作り始めた。空間がとらえられ、物の配置が見えて来て、使い方が決まるまでには、けっこう時間がかかるものなんだね。(K)



金魚におはよう♪

昨日大阪から届いた金魚に「おはよう」と声をかけた。やっぱりここは寒いのかな?水温も低いのだろう。すぐには上がって来なかった。

1匹だけ黒い金魚がいて、これがなかなか見つけられない。で、しばし水中を見つめることになる。こういうことが起こるから、異種がいるのは面白い。

よく数えてみたら、1匹多かった。輸送中に死んじゃうことがあるので、補償に1匹加えてくれたのだろう。皆元気に朝を迎えた。(K)





2021年4月2日金曜日

善い魔女

 あゝこの女はマリアだ。

今夜分かった!『サクリファイス』に出て来た、あの不思議に寡黙な人だ。華美の対局にある倹しさの美を湛えていた女性だ。燃える家と湖を挟んだ対岸の、古い教会跡に住んでいた。彼女のことを"善い魔女"と密かに呼んでいた郵便配達夫が、主人公のアンドレイに、絶体絶命のこの不幸を回避するための唯一の方法を囁くのだった。

なんでもない人のなんにもない状況が無垢ならば、飢えと乾きを訴え続けるのが欲望だろう。ふたつを並べられたら、どっちを選ぶ?

差し出された瞬間手を伸ばす人がいるけど、最後に余ったものを受け取るしかない人もいる。どっちが良いのか、幸せなのかは最後まで分からない。善い魔女でさえ、そんな瞬間があったなんて、全く知らないようだった。(K)



2021年4月1日木曜日

ブリキの潜水艦

 この少年は手に潜水艦を持っている。これはガハク自身じゃないのか?お父さんが買ってくれたブリキ製の潜水艦のオモチャの話は、何度も聞いている。お風呂に入る時にいつも遊んでいたそうだ。沈めたり、浮かべたり、ネジを回すと水をかき分けて進んだそうだ。ずいぶんよく出来ていた素敵なものだったらしい。

テーマは『Mの家族』と言いながら、自分の思い出や周辺の人々の記憶が挿入されている。そう思って見ると、少女もガハクのお姉さんに似ている。

背景の布の模様の美しさが、絵の中に立つ人々を際立たせる。亡くなった人たち、彼らから送られて来る通信を受け取り解読が出来る人たちがいる。

「僕のことを忘れずにいて欲しい」と言って死んでいった人の悔しさや寂しさを癒す力が美にはあるんだ。(K)



2021年3月30日火曜日

桜の下で我生きん

ここは夕暮れには、誰もいなくなる。車も通らない。思いっきりスピードを出して、桜の下を駆け抜けること3回。それから山に入った。オフロードのガタガタ道だ。一番低いギアで、ジグザクジグザグ、、、くねくねくねくね、、、

昨日よりキツかった。スピードはゆっくりなのに、運動量が凄い。10mも登らないうちにハアハアして来る。脚もわずかに痺れてガクガクする。でも、これがいいんだな。筋肉に効いているのが分かるもん。

白い人の谷が分岐する辺りで自転車から降りて息を整え、ゆっくり下った。もう一度桜の下をくぐって湧水のところまで行った。竹筒に顔を近づけ、フルフェイスの口元を少しずらして、一口飲んだ。冷たく澄んだ水が足先まで潤す。これがこれからの私の日課になる♪(K)



2021年3月29日月曜日

花に笑う

 今夜は、緑の女に蛇が絡み付いていて驚いた。「嫌い?でも、エヴァだからね」と言われた。

腕に巻きつかれているのに そんなに怖がっている様子もない。オレンジ色の細い体が、おしゃれなアクセサリーのようにも見える。

蛇は女の踵を噛み、女は蛇の頭を砕く、、、踏むんだっけ?
二者の間に敵意を置くと神は言われたそうな。創世記のダイナミックに展開する件だ。蛇は狡猾の象徴、あるいは誤謬の表象にも使われる。

トワンと山を歩いていたら、山道に転がっている小枝が何かの弾みでぴょんと跳ねた。咄嗟にすごい勢いで横飛びして警戒していたっけ。犬と蛇の間にも敵意があるのかと思ったものだ。

蛇がいることがこの絵を生き生きとさせている。何が何の役に立っているのか、ずずーっと身を引いて考えてみよう、自分を勘定に入れずに。ガハクの絵には、けっこう蛇が出て来るんだ。(K)



美の継承者たち

 「そりゃあ綺麗な人だったよ。冷たい人ではあったけれど、確かに綺麗だった」と言われていた女性を古いアルバムの中から発見したガハクが、その人のことを描くようになったのはいつの頃からだったろう?今夜は、その人が銅版の中で美しく輝いているように見えた。

私が実際に知っているのは、彼女の膝に座っている赤子の方だけだ。大人になったその人からは、奇妙な個性が漂っていた。それに、ぜんぜん冷たくはなかった。私の母の弟だ。

二人は同じ家系の人と結婚した。と言うのは、婚期が遅れている弟のことを心配して、自分の夫の姪を世話したのだからそうなる。でも不幸は同じ形を取った。このふたりは、夫婦より姉弟の繋がりが強かったのだ。神社で結婚式をあげた時、神前で読み上げる誓いの文中で妻の名を呼ぶべきところを、姉の名を読み上げてしまったという伝説が残るくらいに彼は姉のことを慕い続けた。

美しいものが生み出すものについて考えている。美を理解する知性を磨かなければ何も生まれない。ついでに言えば、二人は容姿は受け継がなかった。(K)



よく見られている記事