Kとガハクのアトリエ日記
2018年5月26日土曜日
煩悩の苦しみ
「近頃は念仏を唱えても以前のような喜びが湧かないのはどうしたわけでしょう」と問うた弟子に親鸞は「それは修行の成果でいよいよ極楽浄土が近づき煩悩が最期のあがきをしている証拠だ、ますます修行せねば」てなことを言ったそうだ。
逆転の発想みたいで面白いが、僕も最近は以前ほど描く喜びを感じないで描いている。いよいよ佳境に入って来たかと思えばこれもまた面白い。(画)
2018年5月25日金曜日
2本の木立
毎朝鬱蒼として来たリンゴの木を見上げているからだろう、回廊の柱が庭のリンゴに思えて来た。枝先の梢の膨らみを彫ったり削ったりしているうちに山に溶け込んでしまって、ふんわりとした神殿の屋根になった。そうか、元々教会や神殿の柱も天井も森の木立やそこから見上げる天体を抽象し文様化して作られているじゃないか。元の形になんとか辿り着くまでコツコツと作業を続けている。こういうことは楽しいしぜんぜん苦ではない。(K)
2018年5月24日木曜日
抽象美と恋愛
版画に彫り込むためのかな文字の練習。と言っても家にあった参考書、平安時代のかな文字練習帳を見ながらのいたずら書きでしかないが。
同書による所のかな文字の歴史が面白い。男女教育の差別化の為に漢字を女には教えないようにしたという所から始まる。漢字を知らない女同士で手紙を書くのに独自の文字を発明せざるを得なかった女性たち。その女に手紙を書きたい男は女からその文字を教わらねばならないようになったというのが愉快だ。社会の抑圧が新たな文化を生み新しい美意識が生まれた。その発展の原動力に男女の恋愛があったというのが。(画)
2018年5月23日水曜日
山の稜線
山の稜線をくっきり出すことにした。雲が湧き立つ場所は白い人が現れた谷だった。雲が光りながらすごい勢いで吹き出している。明け方の空は最初はピンクで辺りは金色に照らされる。太陽がすっかり顔を出すと森は白く発光する。
鑿痕を効かせて磨いた石の色とのコントラストを強くすれば新しい領域へ踏み込める。(K)
2018年5月22日火曜日
青の中の顔
青い色がこの人物には合う。青といえば思い出すのはピカソの青の時代、彼の青は言ってみれば画布の要求から発しているのだが、僕の青はこの人物が要求しているのだ。最近絵具箱から出て来たデルフトブルーという色が気に入ったので、手持ちの顔料で似た色を練ってみた。顔料のラベルにはオリエンタルブルーと書いてある。ひどく発色の派手な色だ。
今までの色の趣味を変えられますように。(画)
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