Kyokoの転院が終わった。
大学病院の集中治療室を出て距離がさらに遠くなる病院に移った。今までの大学病院に比べれば建物も小さいし古い。病室も廊下も狭く待合室も広くはない。地域病院というのはこういうものだろうかという感じ。
でも印象は悪くない。転院先の条件が厳しく紹介された二つのうちでここしか選びようがないという事情の割には幸運だと思えた。あの大病院の広さと冷たさ、よそよそしさには閉口し始めていたし、むしろ小さくても人が見えるような気がする方が心強い。最初の紹介段階で会った院長の話しぶり看護師の人柄も気に入っていたのだ。
今日改めて場所を変えて寝かされているKyokoを見て顔つきの穏やかさに安堵した。今度の入院中で一番美しかったのが嬉しかった。歯はもっと綺麗になると言うしマッサージも髪も切ってくれると言う。頼もしい。
ただ病状に関しては厳しい事を言われた。覚悟をする為の時間に余裕はなさそうだ。病院を出て駐車場から彼女が寝かされているであろう病室の窓を両手でハンドルを持ったまま見つめていた。これがあの人との最後の面会になったのかもしれない覚悟をしなければと。
病院から帰る途中で車を公園に停め行動食のサンドイッチを食べ散歩した。桜は未だ満開には遠い。強い風が吹く中を人のまばらな広場や川のほとりを歩いた。
季節は移り人も変化する。何かが始まれば何かが終わる。何かが終われば何かが始まる。それを悲しいと思うか嬉しいと思うか。それは感じ方考え方でしかないのか。Kとガハクは今どこにいるのだろうか。
ガハク