2021年3月6日土曜日

楽しさと喜び

 今日も朝から製材所の焼却炉で廃材を燃やした。ゴーゴーと燃え上がる炎を見つめたり、裏手に広がる渓流を眺めたりしながら火の番をした。

午後は製材の手伝いもした。子供の頃に見ていた製材所で働く人たちの姿を思い出しながら、帯鋸の下手に待機。カットされて出て来る切れ端を運んだり、前に回って次の板をセットしたり、1時間で40枚の板材が完成。昔は製材所の子と呼ばれていたけど、やったのは初めて♪

午後3時。今度はうちの庭に移動して、枯れてしまった松の巨木の伐採作業。チェーンソーの音が近所じゅうに響き渡る。ガハクと二人でロープで引っ張ったら、無事に予測した方向へとゆっくり倒れた。さらに40㎝に輪切りにしてくれたので、丸太の椅子が12個もできた。

皆の意欲と意思が一致すると、いろんなことが出来る。

夜になってガハクの部屋を覗いたら、絵の中の人が笑っていた。今日4本のパンが焼き上がって、天使と社長に降らせることができた。楽しさと喜び。月と太陽。今日のようにあたたかな光に包まれていると、何をしても愉快だ。(K)



2021年3月5日金曜日

山の製材所

今朝アトリエの解体現場に10分前に到着したら、すでに社長が来ていた!しかも製材所の焼却炉では、もう廃材を燃やし始めているそうだ。気合が入っている。

廃材をトラックに積み込む為のフォークリフトの運転が荒々しい。ブォーとエンジンを吹かしてガーッと走りながら爪を上げる。最後がいちばん賑やかになった。いいじゃないか、楽しくて♪

午後からは、ガハクと釘抜きに勤しんだ。太い柱材は燃やしてしまうのは勿体ないと社長が言うのだ。私たちも誰かに使ってもらいたいと思っていたから、ちょうど良かった。

私が生まれた家は、球磨川の河口にある製材所だった。ここは山の製材所で、昔は筏に組まれた丸太が荒川に向かって流され、江戸まで運ばれていたと言う。海と山、両方に製材所がある。筏を受け止める蛇籠の跡が残る海の近くの製材所の 木の匂いと木の山を思い出して懐かしかった。(K)



2021年3月4日木曜日

思い立ったが吉日

 お弁当と充電したフォークのバッテリーを玄関に置いたままで出かけてしまった。向こうに着いてから気が付く始末。取りに戻るついでに6キロ下流のドラッグストアまでおやつを買いに走った。

アトリエに戻ると、ありがたい話が天から降って来ていた。製材所の社長が解体現場を見渡しながら、「これを引き取ってもらうとなると相当金がかかるぞ。俺のところの焼却炉で燃やしてやるよ」と言ってくれたのだ。

しかも次々と発案してくれる。「レンタカーを借りるって言ってたよね。友達からトラック借りてやるよ!」と、その場でケイタイから車が空いている日を確認してくれた。

フレコンバックに詰まった木材をフォークリフトで吊るし上げて、社長の自家用ダットラに載せて焼却炉まで運んで行った。向こうに着いたら製材所のフォークで下ろし、今度はパレットのでっかいのを載せて戻って来た。木材の山を梱包用テープでギュッと縛り付け(そのやり方も教わった)運んでいく。5回も往復してくれたんだ。明日は私は焼却炉の前で、木材処理をすることになった。ガハクは土木作業だ。

廃材の山に埋もれて困っていたのだったが、助け船を出してくれる人が現れた。普通なら、乗りかかった船だからと付き合うことになるのだろうに、社長の口から出て来た言葉は、
「思い立ったが吉日と言うからね」と愉快そうに笑う。この人はずっと見てくれていたんだ。神の目が至る所にあることに気がついた。ガハクの目からもそういう視線を感じる時がある。(K)



2021年3月3日水曜日

雰囲気を描く

「雰囲気が描けるようになって来た」と、馬の前方の空間を指差しながらガハクが言う。そこには濃密な霊気を含む気流が湧き起こっていた。

泳ぐ人の周りに描かれた水もそうだった。あれは生きているような水だったけれど、あれを描いてから雰囲気を描くことを意識するようになったそうだ。新しい領域へすんなりと滑り込んで行くには、通り抜ける空間のことが分かっていなくちゃ決して到達出来ないものねえ。(K)



2021年3月2日火曜日

遂に解体終了

今朝早く家を出て、6キロ下流にあるコンビニに出かけた。出納簿の去年と今年の同じ月をコピーして、飯能市の小規模事業者支援係りへ郵送。きっと給付してもらえるだろう。だってわざわざ電話で追加書類を要請して来たのだから。

コンビニの店内にいる間にケイタイが鳴った。産業廃棄物処理業者がこっちに向かっていると言う。アスベスト処理の申請書類を作成する為だ。まず許可が出ないと引き取ってくれない。小さなカケラでさえ、他の廃材に混入してはいけない危険物質なんだ。

現場で廃材を見てもらった。木材に飛び出している釘はそのままでも構わないそうだ。ただ配線コードは取り除いて欲しいとのこと。トイレのコンクリート桝はそのまま引き取ってくれることになって、今日の仕事がうんと楽になった。基礎に使っていたブロックに差し込んでいた鉄棒は分離した方が再生資源になるそうなので、これだけはやろうと頑張った。

ハンマードリルで穴を開けていると、バキュームカーが現れた。ガハクが水を流し、私は箒で洗って回り、作業員の青年が吸い取るという共同作業。オジさんに「今日もいつもの値段でいいの?」と聞いたら、「いいよ!」と微笑みが返って来た。長い間ずっと特別割引料金だったんだ。変わったところからも応援されている。

いよいよ最終段階に入った。(K)





2021年3月1日月曜日

庭のメジロ

 小林檎の木にメジロがとまった。この羽の色を見るとウグイスを連想していたけれど、もうそんな勘違いはしなくなった。この鳥は、ホーホケキョとは鳴かないし、もうしばらくしたらこの庭にも本物のウグイスが来る。ウグイスは、滅多にその姿を見せてくれない。地味な色をしていて、小さくて、用心深い鳥だ。

庭の向こうに採石工場のある山が見える。朝、昼、夕の3回サイレンが鳴る。寝坊しても、8時になったら起こしてもらえるうちの目覚まし時計だ。山からコンベアの音が響いて来ると辺りが活気立つ。採石の音も、もう煩いとは思わなくなった。

トワン、もう少ししたら帰ってくるからね、この庭に。(K)



小鳥のような花

 花が鳥のように手のひらにとまった。小鳥に向けられる目は、言葉のないシンプルな通信。

今朝ガハクは、ジョウビタキに語りかけた。茂みの中からじっと見ているのが分かったから、「おいで!おいで!一緒に行こう」と呼びかけながら走ったら、しばらく飛びながら着いて来たそうだ。まるで山道で偶然出会った人懐っこい犬みたいじゃないか。

緑の森の乙女の左手に、赤い小鳥か、赤い花か、どっちにも見える生命体が天から降りて来た。それをふっと受け止めた瞬間を見せてもらった。夜中のこんな時間に森の精霊に会えるなんて、なんと素敵なことだろう。(K)



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