お弁当と充電したフォークのバッテリーを玄関に置いたままで出かけてしまった。向こうに着いてから気が付く始末。取りに戻るついでに6キロ下流のドラッグストアまでおやつを買いに走った。
アトリエに戻ると、ありがたい話が天から降って来ていた。製材所の社長が解体現場を見渡しながら、「これを引き取ってもらうとなると相当金がかかるぞ。俺のところの焼却炉で燃やしてやるよ」と言ってくれたのだ。
しかも次々と発案してくれる。「レンタカーを借りるって言ってたよね。友達からトラック借りてやるよ!」と、その場でケイタイから車が空いている日を確認してくれた。
フレコンバックに詰まった木材をフォークリフトで吊るし上げて、社長の自家用ダットラに載せて焼却炉まで運んで行った。向こうに着いたら製材所のフォークで下ろし、今度はパレットのでっかいのを載せて戻って来た。木材の山を梱包用テープでギュッと縛り付け(そのやり方も教わった)運んでいく。5回も往復してくれたんだ。明日は私は焼却炉の前で、木材処理をすることになった。ガハクは土木作業だ。
廃材の山に埋もれて困っていたのだったが、助け船を出してくれる人が現れた。普通なら、乗りかかった船だからと付き合うことになるのだろうに、社長の口から出て来た言葉は、
「思い立ったが吉日と言うからね」と愉快そうに笑う。この人はずっと見てくれていたんだ。神の目が至る所にあることに気がついた。ガハクの目からもそういう視線を感じる時がある。(K)