夏至の朝、5時に起きた。血圧がいい数値だったので、すぐに動き始めた。ガハクも起きて来て、それから二人とも早起きになった。スフィアが変わったようだ。
病院にいる6週間ほとんど眠れなかったというガハクは、最後の数日だけよく眠れたのだそうだ。そんな朝に11階の病室の窓辺のベッドから眺めた赤城山から昇る太陽や、窓の横を飛び交う小鳥たちの様子を、決して忘れることのないその時の感慨と共に話してくれる。
『昇る太陽』の裏に回って彫り始めた。なんとなくそうなってしまっている形を 目指す方向にじわじわ動かして行く作業は、なかなかしんどい。根気が要る。ぐずぐずの石がパカッと割れて抵抗するのを宥めながら、細かな打撃で刻んで行く。立った姿が美しいのは、光が綺麗に回っているからだ。影がしっかり支えてくれるからだ。(K)