今日の午後久しぶりに絵を描いた。
何かをそこに発見して修正したり付け加えたりするという作業。どの絵をその時描くか、直感に従って絵を選ぶ。正面に置いた絵を描きながら、ふと横にある作品に手を加えることもある。
それがボクのいつもの描き方なのだが、今日は闇雲にどうにでもなれとばかり手を動かしていた。手を動かせば必ず何かの反応が返ってくるはずなのに、今日はそれがひどく空虚なものだった。
胸の辺りに大きなしこりができて徐々に膨らんで圧迫してくる。息づかいが荒くなり自分がどうかなりそうで不安になった。こう言う時はその不安に知らんぷりをしてパレットにある絵の具をキャンバスに運ぶというルーティンワークを続けた。
夕暮れが近づき地域の防災放送からお帰りのメロディが流れ、ホッとして筆を置いた。こんな気持ちで仕事を終わりにする事があるとは思わなかった。
何とか料理をしてPCの前で休んでいたら電話が鳴ってドキッとした。電気代がお安くなりますという。機械的な人の声は現実離れしてひどく空拉なものだった。
(ガハク)