2021年9月7日火曜日

8日ぶりの日差しに

 早朝に起きて出窓のブラインドを上げたら、金魚が騒ぎ出した。「朝だね!朝ご飯ちょうだい」と言っているのだ。金魚は私たちの動きをよく見ている。テーブルでお煎餅を食べ始めると、「私も食べるっ!」と騒ぎ出す。ガハクが机の陰からちょっとだけ顔を出すと、「あ、パパだ!」と皆で水槽のガラスに顔をくっつけて並ぶ。声も聞いているようだ。コツコツと水槽をノックする必要もない。いつも金魚にもメダカにも話しかけているガハクである。

今朝は久しぶりに太陽が出て来て、昨日刻んだばかりの溝を横から照らして、くっきりと浮き上がらせた。曇っているとぼんやり沈んでしまう黒御影の中の窪みをどうやったら際立たせることができるか、呻吟しながら彫っている。

黒御影石のノミ音は金属を叩いているように甲高くて、頭の中にまで響く。一昨日は軽く頭痛がしたくらいだ。でももう大丈夫。数日すれば適応する。

家の2階で絵を描きながら聞いていたガハクが、「今日は黒御影石を彫っていたでしょう。体に響く音だね。生活の中にああいう音は必要だよ」と言う。体を貫く音で太陽光を刻んでいる。(K)



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