オリオンの足元に置かれた小石がいつの間にかこんなに増えた。ガハクが散歩から帰ると、Gパンのポケットから引っ張り出してここに置いているらしい。敷き布からはみ出してこぼれていたので、寄せ集め、松ぼっくりは後ろに退かして並べ直した。お地蔵さんの足元のお賽銭みたいだ。一円や五円、緑青が吹いた十円玉が転がっているよりも、この方がずっと美しい。宮沢賢治の『黄色いトマト』を思い出した。「天に宝を積みなさい」とはこのようなことか。(K)
2018年9月1日土曜日
2018年8月31日金曜日
描きにくさ
画布の張りが弱く筆を立てると布がベコベコして仕事がしづらい。張り直すしかないのだが時間と手間がかかり面倒だ。張り直したとしても暫くすると又緩くなる恐れもある。それ以外にも別の理由で躊躇している。
ある画家はわざと緩く張るのだそうだ。その方がいい線が引けると言う。
確かに何でも思い通りにできる方がいいとは限らない。 うまくいかないで素材や道具と格闘したおかげで思いもよらぬいい効果を生むこともありうる。
筆で描けば数分でできることをナイフでガリガリしているのもその理由だ。色にしても調和しにくいような強い色をわざと使っているのだ。 (画)
ある画家はわざと緩く張るのだそうだ。その方がいい線が引けると言う。
確かに何でも思い通りにできる方がいいとは限らない。 うまくいかないで素材や道具と格闘したおかげで思いもよらぬいい効果を生むこともありうる。
筆で描けば数分でできることをナイフでガリガリしているのもその理由だ。色にしても調和しにくいような強い色をわざと使っているのだ。 (画)
2018年8月30日木曜日
底を磨く
今夜はウィリアム・ブレイクが思い浮かんだ。銅板を彫っている姿だった。彼にいつか会えるだろうか?仕上げの過酷さを物ともせずに最期まで勇敢に闘った人だ。
大理石の彫り方は誰にも学ばなかった。教えてくれる人は藝大にはいなかったからだけれど、どんな石でも石は石。これが仕上がったら次はレリーフも磨いてみよう。風景の底を磨いたらきっと人や木や動物がくっきり浮き上がって来て綺麗だろうな。
600番からは、水をかけながら磨いている。(K)
大理石の彫り方は誰にも学ばなかった。教えてくれる人は藝大にはいなかったからだけれど、どんな石でも石は石。これが仕上がったら次はレリーフも磨いてみよう。風景の底を磨いたらきっと人や木や動物がくっきり浮き上がって来て綺麗だろうな。
600番からは、水をかけながら磨いている。(K)
2018年8月29日水曜日
説明と描写
説明せずに描写できないか。説明が描写だというケースはあるが描写が必ずしも説明である必要はない。むしろ説明なしに描ければ説明を伴った時よりずっと優れた結果を生む。モノを説明するだけなら図解で十分だし下手をすれば優れた言葉の力に負けることもあるかもしれない。本当の絵となるともっと多くの特質が必要だ。
モノから色も線も形も引き剥がされる所から絵が始まる。(画)
モノから色も線も形も引き剥がされる所から絵が始まる。(画)
2018年8月28日火曜日
いいものが生まれる瞬間
意識の革命って少しずつ起こるのだろうか、それとも一気に?とガハクに聞いたら、
「そりゃ一気でしょう、革命だもの」とロベスピエールの名がすらりと出て来た深夜の会話。
blitzの新しいマップがファウストと名付けられていて驚いた。こういう最先端のゲームを作る人たちの姿を垣間見た気がした。
新しいことをしようと言う人たち、世の中を変えようと言う人たち、耳に快いことを話す人たちにはもう着いて行かない。善良であることが本当の力になるのだと自分にだけ言っている。
400番の砥石をやっと全体にかけ終わった。石の色が浮き出て来て、ひとりで出来上がって行く形にひたすら着いて行っている。帰りの夜風が気持ち良かった。自転車を降りたら、肋骨がキシキシと鳴った。大理石レリーフを彫るために筋トレを始めたのが、今からちょうど4年前だ。準備が出来て、一気に変わる。(K)
「そりゃ一気でしょう、革命だもの」とロベスピエールの名がすらりと出て来た深夜の会話。
blitzの新しいマップがファウストと名付けられていて驚いた。こういう最先端のゲームを作る人たちの姿を垣間見た気がした。
新しいことをしようと言う人たち、世の中を変えようと言う人たち、耳に快いことを話す人たちにはもう着いて行かない。善良であることが本当の力になるのだと自分にだけ言っている。
400番の砥石をやっと全体にかけ終わった。石の色が浮き出て来て、ひとりで出来上がって行く形にひたすら着いて行っている。帰りの夜風が気持ち良かった。自転車を降りたら、肋骨がキシキシと鳴った。大理石レリーフを彫るために筋トレを始めたのが、今からちょうど4年前だ。準備が出来て、一気に変わる。(K)
2018年8月27日月曜日
空間性
人物を描くにしても、風景や静物を描くにしても目と対象までの距離感が必要だとずっと思ってきた。名画と言われている絵には全てそれがある。対象のない抽象画になるとむしろそれしかないとさえ言える。
物理的なことではなく、人の思い、感覚や観念を含んだ空間に気づくこと。
このことが分かっていないと絵画とデザイン画の違い、さらには彫刻と陶芸の違いが分からないことになる。
それで思い出した。そこに立体としての事物があるだけに彫刻の空間性に思い至ると…実に難かしい。プラモデルみたいなものしかできないのはここに原因があるんだな。(画)
物理的なことではなく、人の思い、感覚や観念を含んだ空間に気づくこと。
このことが分かっていないと絵画とデザイン画の違い、さらには彫刻と陶芸の違いが分からないことになる。
それで思い出した。そこに立体としての事物があるだけに彫刻の空間性に思い至ると…実に難かしい。プラモデルみたいなものしかできないのはここに原因があるんだな。(画)
2018年8月26日日曜日
血管と水脈
「血管のようだね」とガハクに言われた。枝も血管もやっていることは同じだもの、形が似ていて当然だ。人は植物を見つめている時、内的な意識の中では動物について考えているのだそうだ。
都市に迷い込んだ鹿が追い詰められ逃げ込んだ場所は、ビルに囲まれた小さな庭だった。一面灰色の中の緑をヘリコプターがズームアップしていた。
神隠しにあった子を発見した男をメディアが一斉に囲んでインタビューしている映像を見た。身振り手振りで話し始めた男の小指にトンボがとまった。何度も再生して眺めた、トンボがとまる植物的な柔らかな人を。
アメリカで銃乱射事件を起こしているのは男ばかりなのだそうだ。実効ある対策として、さっそく女性的なものを教育しているとか。美に引き寄せられることがなくなった感情は、ずっと灰色なの。(K)
都市に迷い込んだ鹿が追い詰められ逃げ込んだ場所は、ビルに囲まれた小さな庭だった。一面灰色の中の緑をヘリコプターがズームアップしていた。
神隠しにあった子を発見した男をメディアが一斉に囲んでインタビューしている映像を見た。身振り手振りで話し始めた男の小指にトンボがとまった。何度も再生して眺めた、トンボがとまる植物的な柔らかな人を。
アメリカで銃乱射事件を起こしているのは男ばかりなのだそうだ。実効ある対策として、さっそく女性的なものを教育しているとか。美に引き寄せられることがなくなった感情は、ずっと灰色なの。(K)
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