2018年8月18日土曜日

月の周りで

月を磨くなら夜だ。昼間には見えなかった陰影が見えて来て、形の根拠を思い出せる。実体のない虚しい気分は彫刻の中では霧散する。

帰りがけに今夜も自転車を漕ぎながら火星の大きな赤い光を見上げた。あれは空の窓だ。カクッと右折して国道に出たら、目の前に突然月が現れた。白く輝く舟の形をしていた。角度を変えるとすっかり変わる空の風景。(K)


2018年8月17日金曜日

綺麗な石

犬の散歩で河原に行く度に小石を拾う。平べったい石が好きだ。丸い形にも惹かれる。完全に円形というのはなく、いくらかいびつな丸ばかりだ。でもそこが面白い。偶然に出来上がった形、いや自然の中で生まれた形には独自の必然性しかないのだろう。
鉱物の種類を表してもいるだろうつや消しの黒、紫、赤、ピンク、山吹色、白い縞の入った黒や赤、黄色など…抽象的な形と色。
家に帰ると今拾って来た石を妻の彫刻の足元に並べておく。
最近ぞうけいに来た子供がその中から一つ欲しいからこれと交換してとくれた石はいつも僕が拾うのとは形も質も違うものだった。どんな石を綺麗と見るか、人の感性の違いが面白かった。

大事なことは綺麗な石に出会うことよりも綺麗な石に出会える心を持つことだと思う。(画)


2018年8月16日木曜日

霧散する意識

外で鈴が鳴ったので慌てて庭に出たらネットの中にリンゴが一個、自然落果だ。今日は猿は来なかった。

夕刻の暑さが和らいだ頃にアトリへに向かって自転車で走り出したら、途中の川べりの家で送り火をしていた。紙の束からさっと煙が上がった。少し離れて雑談している人々がその家の一族なのだろう。軽く会釈して通過。お盆の帰省も今日でおしまい。霊たちはそれぞれの種族の元へ帰って行く。(K)

2018年8月15日水曜日

桃源郷

燕岳に登る途中に胸を打たれるほどに親しみを感じた場所があった。中房温泉を過ぎて岩だらけの急登にかかる少し手前のなだらかな森のような場所。あゝこういう所だったら何時間でも何日でも過ごしていたいと思った。しかし不思議なことにその風景の細部が全くと言っていいほど記憶にない。
ひたすらピークを目指すだけの志向性に途中の景色など問題ではないと、記憶から消し去ったということかもしれない。
今の場所に住もうという気になったのはここがあの風景に似ていたということだろうか。きっとそうに違いない。そして僕はあそこに精霊を見たのだと今では確信している。(画)


2018年8月14日火曜日

懐の風

真っ白な入道雲が山から湧き上がっているのを眺めながらアトリエに向かう夏の午後。天人の腕の間を風が流れて行く。この風に吹かれたら、どんな病も癒されるだろう。意識の置かれた状態がそのままその人の顔に現れている。優しい風に包まれているからこんなに元気にいられるのだ。悪意にわざわざ近づく人たちは、奈落に属しているのに違いない。恥辱と優越の間を行ったり来たりしながら競争し続けて重く暗い穴の住人になるのだ。そんな世界とはおさらばしよう。新しい場所に向かおう。(K)




2018年8月13日月曜日

やっとできた

最初のホームページを作ったのは今から18年前、2000年の12月。ネットに繋げるだけで一苦労だった頃、ブブブ、ぶぶぶ、ピ〜ヒョロロ〜という音を聞きながらドキドキしてパソコンの画面を見つめたものだった。
それからもう少し経つと必要に迫られ高速通信用にパソコンも新調し、ソフトも本格的なゴーライブというのを必死に勉強して…しかしそれさえも今は昔。
今ではフリーのソフトにフリーのサイト、デザインも最適化されているしネットショップだってやれるんだ。
さて、果たして注文が来るかな?これからはメールをしっかりとチェックせねばw(画)



2018年8月12日日曜日

新しい顔

頭の後ろの空間を広げたら顔が明るくなった。砥石をかけながらあちこちいじっている。わずかなことでも気が付いたら放ってはおけない。そこが入り口だったりするからだ。人の顔がゆっくり変わって行くのを眺めているのは面白い。

今日もまた猿がやって来たようで、ネットの中にかじりかけのリンゴが転がっていた。窓のすぐ外でそんなことをしているなんてぜんぜん気がつかなかった。トワンもそうで、後でクンクン嗅ぎ回っている。夕方暗くなるまでネットの再補強。猿との戦いはまだ続く。。。(K)

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