2018年8月15日水曜日

桃源郷

燕岳に登る途中に胸を打たれるほどに親しみを感じた場所があった。中房温泉を過ぎて岩だらけの急登にかかる少し手前のなだらかな森のような場所。あゝこういう所だったら何時間でも何日でも過ごしていたいと思った。しかし不思議なことにその風景の細部が全くと言っていいほど記憶にない。
ひたすらピークを目指すだけの志向性に途中の景色など問題ではないと、記憶から消し去ったということかもしれない。
今の場所に住もうという気になったのはここがあの風景に似ていたということだろうか。きっとそうに違いない。そして僕はあそこに精霊を見たのだと今では確信している。(画)


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