大きな石を立てたまま(最終セッティングの状態)で彫っている。横から、斜め下から、ハンマーを振り下ろす(振り上げる)。機械を使わないからゆっくりだ。一皮剥いては、もう一皮、だんだん形が引き締まって行く。どうしてなのか、いつも裏側の方が形が柔らかくて優雅に見える。何にも気にしてないからだな。人に見られることのないところに自由がある。(K)
2021年8月26日木曜日
2021年8月24日火曜日
オレンジ色の空
毎年お盆の頃になると、遠く離れた故郷を想ってか、いつも寂しかった。そんな時に「女よ、あなたは許された。安心して行きなさい」という言葉を聖書の中に見つけて、幾度となく心の中で反芻していたっけ。罪障感は自分の奥深くまで探訪し、自分で抉り出し、言葉にし得た時、軽くなる。
毎晩寝る前に『冷血』(トルーマン・カポーティ)を読んでいるのだけれど、昨夜遂に殺人者らが捕まった。刑事の尋問への反応が実にうまく書いてあって怖い。でもその後すぐに眠りについても怖い夢や悪い夢を見たことはない。河内十人斬りに題材をとった『告白』(町田康)を読んでいた時もそうだった。優れた表現は悪霊を運んで来るわけじゃないんだな。優しい言葉をつらつらと述べたてた文句に鬱陶しさを感じることがあるのは、そこに潜んでいる目的が悪いからだ。無意識の領域は深く広い。見えないところまで透かして眺められる眼力はないけれど、嗅覚は持っている。だから無事にここまで生きて来れたんだ。
お盆明けの早朝、山も庭も辺り一帯がオレンジ色に輝いた。二階に上がって窓を開けたら大きな虹が見えた。白い人の谷から出てずっと遠くまで。ちょうどアトリエがあった辺りまで伸びていた。(K)
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