2021年5月5日水曜日

生意気ざかり

 今まで見て来たガハクの自画像の中で、これは一番元気がいい。なんでもやれそうな顔をしている。体の中にエネルギーが詰まっている。こういう風に描けるようになったのは、熟したということなのか、削ぎ落とした結果なのか?実際に、今のガハクは、このようだ。ピンピン飛び跳ねている。

金魚を飼い始めたら、可愛くて仕方がない。私が家で石を彫るようになってからは、「僕らのこういう生活には犬はいた方がいいよ」とはっきり言い始めた。しかもガハクは密かに、あちこちの保護犬の団体を調査していたらしい。そして、ずっと私の決断を待っていたようだ。夕方になって、「登録しておいたよ」ですって♪

ついに犬を飼おうと思うまでに二人とも成長した。暗い闇から抜け出した。(K)



2021年5月4日火曜日

息がぴったり合う

 相手と息がぴったり合って初めて面白さが分かる。何をするにもコンビ次第だ。でもほんとうは、コンビがよけりゃ物事が上手く行かなくても楽しいのだ。アトリエの解体作業がそうだった。労働は過酷だし状況は惨めなはずなのに、毎日が楽しかった。

今夜初めて『Baila la Luna』が弾けた。前田さんのスピードとリズムに着いて行けた。一緒に弾いてもらうと分かることがいっぱいある。弾けるようになると面白さは倍増する。

白御影石と黒御影石のコンビネーションを手彫りで探索している。ゴールデンウィークでハイキングの人たちが家の前を通る。彼らの耳にも届いているはずの石を彫る音は、小鳥の声や電車の音と同じ。自然の一部になっている。

コツコツコツコツ彫っていたら、穴の向こうにひょいと白い犬が現れた。久しぶりに会って話をする喜びに浸っていると、横からガハクに向かってぴょんと飛び上がり前足をかけて見上げている。おゝトラに好かれているらしい。いいなあ♪(K)



2021年5月3日月曜日

存在の暗示

 これが飛行機雲なら、物体は西に向かって飛んで行き、雲はゆっくり風に流されているわけだけど、風向きどっちだろう?この季節でこの天気だから、上空はたぶん西寄りの風だ。

UFOとしか思えない飛行物体を写した映像が公開された。写しているパイロットの声がうわずっていた。

疑う前に話を聞こうとするのが、好奇心だ。そして、直感には行動が伴う。得た情報を弾くか取り込むか、瞬時に決まる。もしかしたら人は、見る前にどっちにするかすでに決めているのかもしれないな。飛ぶことができる人は、ずっとその瞬間のことを考え、準備している。(K)







2021年5月2日日曜日

金魚と話す

トワンが死んだ時に、ガハクのペットロスを心配してくれる人がいて、「金魚でも飼ったらどうかしら。私が買って来てあげる。飽きちゃったら川に放せばいいんだから」と言ってくれた。

金魚でトワンの代わりが務まるだろうか?と思っていたけれど、実際に飼ってみると、だんだん可愛くなって来る。ガハクは遂に金魚に話しかけるようになってしまった。

「元気になったねえ。ほら、ご飯だよ」とか、いろんなことをバケツを覗き込みながら喋っている。面白いことに、金魚の方も反応する。ガハクにビスケットを渡したら、金魚を眺めながらかぶりついた途端、金魚がパーッと水面に上がって来て、「僕も僕も!私も私も!」と集まって来た。ガハクは小鳥だけではなく、金魚とも話ができるようだ。

この子、金魚みたいに見えて来た。(K)



2021年4月30日金曜日

後ろ姿

 後ろから見ている人がいるなんてことを全く意識しないで、一所懸命チェーンを繋いでいる人がいる。

三日前に、山の中腹のススキが原まで登ったところで、プツンとチェーンが切れたのだそうだ。カラカラ空回りするペダルに足を乗っけて山を降りて来たガハク、今日やっと直す気になってチェーンの両方の端を引っ張って、ピンを押し込んでいる。

彫刻の裏側が面白い。無意識が出る不思議な場所だ。(K)



2021年4月29日木曜日

薄紫のバッハの木

 雨戸を開けたら、家の前の斜面に聳え立つバッハの木(うちではそう呼んでいる)に、藤の花がいっぱい咲いていた。いつの間に絡んだのだろう。今朝初めて気が付いた。

この頃は初めてのことばかりだ。

今朝ガハクが、「今そこにトワンがいたよ」と言う。窓辺におすわりをして外を眺めていたそうだ。テラスには金魚が泳いでいるバケツが置いてある。そんな景色といっしょに何の不思議もなく見えたのだそうだ。今年はトワンがやって来ると言っていたガハクだから、そんな幻影も見るのだろう。

見ているものは幻で、愛しているものだけが存在する。愛するものが無ければ、何も見えていないに等しいということになる。退屈であるか、眠たくなるか、死にたくなるのはそんな時。

満月の夜からバイオリンを弾き始めた。ガハクもギターを取り出し、コードの研究を始めた。速いステップで軽やかに月明かりの下で合奏できるように、毎晩練習して行こう。次の満月に間に合うように♪(K)







2021年4月28日水曜日

ここなら彫れる

この庭で朝から彫った。午後も彫った。夕方にも彫った。採石工場のベルトコンベアーの音が響く谷間の村は、彫刻家にやさしい。すぐ横を走る西武秩父線の電車のゴーッと過ぎる音も、親しみを感じた。線路の向こうを行き来する地元土建屋の資材を積んだトラックも、応援団のように思える。要するに、静か過ぎるのも困るんだな。いろんな音がしているところの方が、元気よくやれるということが分かった。

芸術という仕事は、手や体を動かすことに直結している。感覚だけじゃ根を持たない浮き草だ。触って確かめながら進んでいる。天界は場所ではない。お花畑でもない。安心して彫れる場所なら、そこが私にとっては天界だ。(K)



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