2018年7月17日火曜日

月の子

月からこぼれた光が小さな玉になって下りて来た。オレンジ色の光球だ。スーッとする匂いが辺りに満ちて、梢を支える枝がツンと氷のように固く青く引き締まる。砥石をかけながらそんなことを想っていると、ポツポツしていた雨がザーッと本気で降り出した。石を彫っていると浮かんでくる言葉や形は、自分で考えたものじゃない姿をしている。意識を元気付けて覚醒させてくれるのは、いつもそういうものたちだ。(K)

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