夕飯の支度を一緒にやった。チャーハンを作りながらガハクが、「天井はやっぱり暑いんだね」と言うから何のことかと思ったら、今日はずっと画面の上の方を描いていたからだったのだ。
それだけじゃない。夕方になると白い人の谷から涼しい沢風が降りて来て、庭を通って部屋の中に入って来るんだけど、2階にまではなかなか届かない。今日のような夏日だと特にそうだ。
夜になって画室を覗いたら、熱気がまだ溜まっていた。カーテンを開けたら、スーッ流れ込んで来た山の空気のまあ、、なんて気持ちが良いこと♪窓際のゆり椅子に腰掛けてしばし見学。
ガハクの新しい描き方の一つに”描き直す時は完全に前の絵具を削り取る”というのがある。自分に課したルールらしい。空と方舟を削りながら、「死なない為に描いているのかねえ。クロちゃんは癌の宣告を受けてドイツから帰国したのだけれど、それから突然時間がかかる絵を描き始めたんだよね。それまではポップな絵を描いていたのに」と話し出した。30ちょっとで亡くなった友人のことだ。
死んで名を残す為に描いていた人が、いや、才能を輝かせたいと思って描いていた人が、死なないように描き始めるって、、、それまで何してたの?(K)
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