昨日ガハクの肺のCTの画像を見たからか、今日は胸を思い切って彫れた。胸板に刻まれた肋骨の起伏を彫りながら、服の上から肺が透かして見える気がした。右肺の突起も小さくなっていたし、靄が消えて透明度も増していた。ガハクは最近やっと深呼吸ができるようになったという。吸った以上にゆっくり時間をかけて吐くことができるのは、横隔膜を包む筋肉が強くなった証拠だ。
リハビリ療法士に、胸に負担がかかる運動はしないようにと言われていたけれど、昨日から腕立て伏せもやり始めた。だが、まだ半分しか沈めない。完全にやろうとして、力尽きてペタッとお腹と胸が床に張り付いてしまった。自分の体を持ち上げる強い筋力までは、あともう少しだ。現在9割回復。
音のしない雨がずっと降り続いていて肌寒いくらいだったけれど、ドアを開け放して仕事をした。山の緑が視野に入って楽しいのだ。すると、外から甘い香りが入って来た。空き地にカモミールを植えた人がいる。そこは獣が荒らすので嫌になって畑をすっかりやめた場所だ。雨に打たれると、ハーブは強い香りを放つ。
隣の野原は斜面の上の方まで綺麗に均されていた。短い棒が等間隔に地面に刺されてもいる。どうも植樹の準備のようだ。物事は善い方に動くこともあるのだから、ただじっと見つめていればいいんだな。(K)
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