2019年2月15日金曜日

まなざし

「曲というものは楽譜を書いたらそれで終わりじゃなくて、聴く人がいてその人の心に音楽として響いて初めて曲になるんだということにやっと気づきました」とある作曲家が言っているのを聞いた。
絵も同じことではないか。絵は描かれて終わりではなくその絵を観る人が何かを心に感じた時、初めて絵になる、いや絵が始まると言ってもいい。(芸術がコミュニケーションツールだとか交通手段だとかいうくだらない事を言いたいのではない)
ジャコメッティは晩年に、
「人は眼だ、なぜなら眼にはその人の心が表れているからだ、眼が描ければ人が描けるはずだ」とありふれたような言い方をした。けれどもそれはあの人でなければ言えない非常に重要な認識に到達したという事だったのだ。
人は見る、と同時に見るものから見られている、見るということは見られるということだ、眼差しがそこにある、人や動物に限らず存在するもの全てと。
絵はけっきょく「眼差し」こそを描かねばならないのだ。(画)



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