2019年2月14日木曜日

やわらかな線

最初は肩から手までのラインをふんわりとさせて翼のようにしようと彫り出したのだったが、翼の先端を少し曲げたら、ひらりと揺れる薄く繊細な手になった。再び腕と手に戻ったわけだけれど、元の形とは違う。やわらかい生きている線だ。こういう不思議なことが起こるのが彫刻だ。そうでなければいつまでも人形か物のまま、意識はずっと同じ場所にいて動かない。

ボイスが『芸術と政治について』の討論会で言った言葉、「負債は払おうじゃないか」が、やっと分かった。作品を売って暮らしていることは負債にこそなれ、決して自慢にはならんのだ。(K)


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