朝一に街に出て、エア抜き用のジョイントを買って来た。そして午後、山に入って水を引いているパイプの途中を切断。鞍部の少し手前辺りが良いだろうという判断だ。ジョイントは簡単に取り付けることができた。最近のはバーナーで炙って伸ばしたり広げたりする必要はなく、構造がシンプルで良く出来ている。
さていよいよエア抜きだ。コックを倒したら、まず空気がシュッシュッと音を立てた。で、次には泥水が噴出!しばらくしたら透明で冷たい水が勢いよく流れ出た。全てうまく行った。アトリエへ戻って蛇口を捻ったら、すぐに水が出た。2ヶ月ぶりだ。
山の中の小さな沢から引いている水を こんなに有り難く感じたことはない。地主さんや山主さんの土地を横切り、家々の裏庭を通って来るパイプは、36年間ずっと黙認されて来た。途中の野原がブルーベリーの果樹園になった時も、パイプを踏まないように丸太を当てがって工夫をしながらフルドーザーで耕作してくれていた。たった一人の彫刻家の勝手な仕事のために。
やればすぐに出来る簡単でなんでもない作業を何故ずっとやろうとはしなかったのか?何に気を遣っていたのか?作業しながら、ずっと怯えていたものが消えて行くのが分かった。
帰りに自転車で走り出したら、さーっと霧雨が流れて来て顔に当たった。気持ちがいい雨だ。やっと夏が終わった。(K)
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