朝イチに退院したガハクが、まず最初に行きたいところは彫刻のアトリエだった。
写真では見てはいても、実物を見てもらったのは何ヶ月ぶりだろうか。胸から飛び立つ小さな子の姿にいたく感銘して、「この子は素晴らしい。この子がこれだけ彫れていればあとはもう自由にやっていいと思うよ」と言う。袴も胸も顔もそれらしく似せようとしなくてもいいし、もっといい形が生まれて来るだろうと予言してもくれた。これは傑作だってさ。もうこれだけに何年もかけても構わないんじゃないとも言ってくれる。力を与えて来れるガハクの言葉がついに帰って来た。そういう日が与えられた。これからずっとこうやって生きて行こうと誓い合った。(K)
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