昨夜ガハクに居合をやってもらった。刀の代わりに裁縫用の1mの竹の物差しを持ってだったのだが、眼前の敵を見据える視線、後方の敵をも押さえつける切っ先、その空間の把握の濃密さに見ていて息が詰まった。
今夜も一回だけ、型の一本目にあたる『初発刀』(しょはっとう)というのをやって貰ったのだが、昨夜よりさらに緊迫した空気が辺りを占めた。意識は空間を作り出すというのは本当だ。 46年ぶりに見せて貰ったのに何も衰えてはいなかった。立派な実力派の武道家であったという先生から学んだことは、今もガハクの内部に刻まれているようだ。
天界では、必要な物は使いたいと思った時に横を見るとそこにあるという。それがあまりにも自然なことだから、何も思わずただ手を伸ばしそれを使うという生活、、、なんと楽しいことだろう。ガハクが使いたい色をパッと思い浮かべて横にあるキャビネットを見ると、鮮やかなバーミリオンやコバルトブルーが並んでいる。筆はいっぱい刺してある。そして刀もいざという時には現れる。つまり、闘う天使は蓄える必要はないということだ。
今夜レリーフの男の顔に600番の砥石をかけたら、辺りにエーテル状の発散気が広がった。くっきりと立ち上がって来るようだ。思い切って磨いていこう。(K)
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