瞳をどう彫るかも大事だが、それを包む瞼がいろんな表情を作り出している。今日は下瞼をさらに薄くした。重ったるい印象が消えた。僅かにあった憂いも無くなった。こういうことは自分ではどうにもならない。その時まで耐えて進むしかないんだ。そこまで行って初めて分かる形なんだもの。昨夜は見えて来るというよりも、ふっと浮かんで来たので、慌てて水色のクレパスで下瞼に描いておいた。そして今日アトリエに着いてすぐに取り掛かった。何となくルノーの会長のスナール氏に似ている。あの顔は素晴らしい。形が人格と結びついていれば良いのだけれど、あのような顔を持った人が善い人であることを願う。美とは想いと知性が一致したものなんだ。(K)
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久しぶりにガハクが書いている。 新しい年。2022年の今日はもう3日の月曜日。 2020年の冬に僕が重症肺炎で入院してから二人で交代で書いていたものをKだけが記述していた。 去年の30日の午後、いつも二人で行く裏山の頂点に立った時、彼女がうづくまり動けなくなった。僕一人ではとう...
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手の指のひとつひとつを磨いては彫り直し、彫り直してはまた磨いて、少しずつ温かな手にしようとしている。この手がうまく彫れたら、顔も同じように優しい形を与えられそうな気がして来た。 今日ガハクは、担当医とその上の大先生と専門医との3人に面談したそうだ。右肺に開いた穴は、ステロイ...
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今日の午後久しぶりに絵を描いた。 何かをそこに発見して修正したり付け加えたりするという作業。どの絵をその時描くか、直感に従って絵を選ぶ。正面に置いた絵を描きながら、ふと横にある作品に手を加えることもある。 それがボクのいつもの描き方なのだが、今日は闇雲にどうにでもなれとばかり手...
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スコットのダンスを見ていたら右腕にポツンと水滴が落ちた。あゝこれはよく何もないのにチクっとしたりする例の神経の突発的反射作用だろうと思いながらも当たった所を見た。実際に濡れて光っていた。左手の指で触わると確かに液体の感触が。雨漏り?思わず天井を見上げた。 白い人を見てからもう...