2019年6月19日水曜日

記憶と想像

遠い昔とはいえ若い頃に覚えすっかり身についていると思っていた居合の型をほとんど思い出せないのに気づいた。ネットで動画を見たりしても自分の体に実感として染み付いているはずの感覚と結びつかない。しかし何度も動いていたら徐々に思い出せて来た。
銅版画を始めた頃、カタログを見て余りに高価なものは除き使いそうな道具を片っ端から購入した。
エングレービングに使うビュランにも様々なものがある。一般的な断面が菱形のものから鋭い楔形、楕円形、長方形…。その中で一本使途不明のこの一本、反った刃の先端の断面はV字形。使い方が分からないままだったが点を打つのに便利ではと思いついた。たくさんの点を集合させるとアクアチントみたいになる。
知っているはずのことを思い出そうとすることと、知らない使い方を想像することが脳の活動として似ているような気がしたのだった。(画)

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