日課だったトワンとの散歩がなくなって2日目。喪失をどう捉えるか未だ分からないままだ。
思い立って以前よく一緒に登った山に向かった。思いかえせば最近の彼の体力では登る意欲も生まれなかっただろう。相当久しぶりの道だった。
登り始めて気づいた。道のあちこちにトワンの面影が浮かび上がる。突然藪の陰から目の前に現れ僕を見つめたと思えば、サッと身を翻すようにして道の向こうへ走り去る。。
雪の日にイノシシを追って迷子になった場所に来ると森の中を登って行く白い尻が見えたりした。
頂上付近の大岩を終点にして下ることにした。往路では意外と軽く動いた足も帰りの下りではギクシャクし、疲労のせいか腹痛まで起きてしまった。
夜、昨日に引き続き森の絵に筆を入れ始めたら、今日見たトワンの幻影が絵の中に現れるのを感じた。この絵を描いた当時はトワンがいたのだ。今こそ絵の中にしか存在しないトワンになったんだなと思った。(画)
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