朝の7時半にピンポンが鳴った。門の前に製材所の社長のダットラが停まっている。仕事前にパンを受け取りに来てくれたのだ。爽やかな笑みをマスクが半分隠している。首にタオルが巻かれて、気合が入っていた。いつもの時間にいつものように日曜日も動いている人だ。
10時になった。日曜日も音を立てていいだろうか?石を彫っても大丈夫かしら?などと思いながら庭をぶらぶらしていると、塀の向こうから「何悩んでんの?」って話しかけられた。歯ブラシをくわえていて口の中が泡だらけ。ううんと首を捻って応じていたら、「なんだよ、今頃歯を磨いてるんかい。もうお昼だぜ。すぐに昼飯の時間になるよ」と笑われた。
いい風が吹き始めたのか、午後になってやっと気合が入った。石の接合面を計測して穴の位置を決めた。ガハクに垂線を見てもらいながら、慎重にハンマードリルで穴を開た。ステンレス棒を2箇所に差し込み、フォークリフトでゆっくり吊り下す。
ぴったり接合した。しっかりと安定している。高さ155cm、私の背の高さにした。ここまでは準備、これからが彫刻だ。シルエットを整えながら、風の抜ける穴を広げてゆく。(K)