2021年1月6日水曜日

あの頃彫ろうとした形

今朝も彫刻を運び込んだ。ガハクと二人でなら、どのくらいのものをどのようなやり方で動かせるか、だいたい分かっている。気合を入れて、ケガをせぬよう、指を挟まぬよう、慎重にそっと置いた。

大理石を彫り始めたばかりの頃のものは初々しい。細部までやり切れずに途中で放棄されてはいるが、ノミ痕が可愛らしい。この優しさを壊さずに続きを彫ろう。今なら、あの頃彫ろうとしたことが彫れるだろう。

ここは、鬼が騒ぐ荒野からやっと解放されて辿り着いた岸辺だ。 方舟の窓から柔らかな冬至開けの日差しが入ってくる。(K)


 

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