冬至から2週間、もう日差しが強くなった。日陰の霜はいつまでも融けないけれど、日が当たるところはピカピカで眩しい。この明暗が冬の寂しさと美しさなんだなあ。
トワンが死んだ時はいつまでも淋しさが続いた。もしガハクも死んでいたら、、、なんて想像は決してしない。事実はこのような形で与えられたのだから、今の状態を微細に見つめて理解しようとしている。
だからだろう、毎日アトリエの片付けに追われていても悲惨さや鬱屈した気持ちに囚われることは避けられている。ガハクが生きて還って来たことを思うと、少しぐらいの過酷な労働なんかヘッチャラなんだ。一つ一つを毎日続けて行けばいつかは達成される。そのうちそれからも解放される。そして新しい場所で始まるストーリーもすでに浮かんでいる。
今まで人の命ばかりはどうしようもないと思っていた。老いに抵抗できるはずはないと多くの人が言う。しかし、とか、それでも、とかの前置き無しに、全く違う場所があることに気が付いたんだ。愛を作るのは持続的な仕事の上にやっとチラチラとその輝きを見せ始めるということを知った。タルコフスキーのおかげかもしれない。他にも道を示してくれた人たちがいる。
芸術と信仰が何の関わりもないようになったかのようなこんな冷たい時代にも 陽だまりはある。(K)