後ろ髪が適当に流れていたのをまっすぐに彫り直したら、まわりのアトリエの空間に垂直が意識された。彫刻の中の垂線と空間が一致した瞬間である。
石の中で完結できないものが、周りと融和できるはずがない。ギクシャクしたものは内側も外側も周りをも巻き込んで混沌としている。内なる革命が先行するというのは、そういう訳だ。
アトリエの隣人から迫害と孤立の辛さを聞かされた後に、いろんなことが思い出されて憤りが再燃したけれど、今日はその人は留守のようだったので安心して石が彫れた。どんな内容であれこの世のこととは私は関係がないようだ。
人は人と響き合う共鳴箱だ。霊の作用から一瞬にして遠ざかることができるのが、芸術だ。 『怪物』とは霊界を踊る情念という汚物の沼に繰り広げられる争奪戦のことだ。(K)
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