大好きなものを彫っている時は笑っていることが分かった。意識したことはなかったのだけど、ガハクに言われたこと「Kはツイッターやってる時はいつも笑っているけれど、石を彫っている時もそうなの?」というのを思い出してふと、今笑っていたなと自覚できたのだった。トワンの目を思い切ってえぐって視線を強くしている。この方が生きているトワンのようだ。鼻の穴も大きくしたら、ふんふん鼻息が聞こえるようだ。
今日のガハクは、半身起こしたベッドの上で首をまっすぐにして、眼鏡をかけた姿で待っていてくれた。今までの不安がいっぺんに吹っ飛んだ。スポイドで口に含ませてみようかと思ってそっとバックに入れて持っていったヤクルトのことを「ヤクルトみたいなものだって全部このチューブから摂れているんだよ。心配しなくても大丈夫」って笑われた。このまま衰弱して餓死するんじゃないかと、昨夜は突然不安に襲われたことを話したら、「そんなことはあり得ないみたいだよ」とのこと。
先生にこれからのイメージについて聞いたそうだ。酸素の濃度をだんだん下げて行っているから、自己呼吸する肺の力が戻って来るのを待っている状態だとのこと。そして、点滴の針を刺しながら、「太くてしっかりした動脈だなあ、この2本とも」と感心された。確かにトワンとガハクの体は優秀だ。ピンと張り詰めた緊張と瞬発力、それを支える無駄のない筋肉、体の内と外のコンビネーションが形に出ている。
だから、トワンとガハクを石に彫っている時はやっぱり笑っているのだろう。愉快なもの、自分を励まし、元気付けてくれるものは、大好きなものの中にある。(K)
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