難民支援団体から届いた封書に入っていたアルミブランケット。窮乏する人々に思いを寄せて欲しいからだと書いてあったが、義援金は送らずに、小さく折り畳まれたキラキラ光るハンカチくらいの袋を本棚の隅に突っ込んで、もう何年もそのままになっていた。
今日は朝から雨だし風もある、、、そうだ!あれを使ってみようと思い立った。広げると、バスタオル2枚分の大きさになった。軽くて風が吹くとパリパリッと軽やかな音がする。キラキラ反射しているけれど、空が少し透けて見える。太陽光を完全に遮断するわけじゃないようだ。こんなペラペラのもので体を包んで、果たして寒さが防げるだろうか?などと思いながら、石を彫り始めた。
「おい、雨の日は休め!」とよく石彫の先生に言われたもんだ。酒を買って来て石彫室で早々と宴会を始める先輩たちもいて、仕方がないので道具を片付けて付き合ったりしていた。やりたい時がやれる時なんだ。若い頃は、人間付き合いには苦労した。
夕方部屋に入ると、「いい音出してたね」とガハクに言われた。今日から思い付いた形を思い切って彫り始めたからだろう。それがノミ音に出るんだな。(K)