2021年6月5日土曜日

大きな絵と小さな絵

 ガハクが生還して75日ぶりにキャンバスの前に立って絵筆を動かしたのが、ちょうど一年前。その時に最初に取り掛かったのは、後ろにある150号のキャンバスだ。

よくもまあ病後のひ弱な体で、踏み台に乗るのもやっとの体力で(実際に一度は段を踏み外して転んでもいる)大きな絵から始めたねえと言うと、
「大きな絵に頼ったんだね」と、意外な言葉が返って来た。

大きな絵だと、思いつくままどこか一部分を描いていても、やがてそれが繋がってだんだん出来上がって行く。それが小さな絵になると、集中力が要るという。意識を研ぎ澄ますには、あの時はまだエネルギーが足りなかったんだそうだ。コツコツ、とぼとぼ、ジリジリと進む時もあれば、カーッと燃えるように駆け抜ける時もある。

今夜は小さな絵を描いていた。この赤い木は何を表象しているのだろう?(K)



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