トワンはよく踊っていたなあ。ぴょんぴょん後ろ足で立ち上がっては、歌いながら踊る私を追いかけていたっけ。ガウガウ唸りながら、それがトワンの歌い方だった。興奮すると勝手に声が出る。自然とステップが始まる。
画室を覗いたら、今夜もガハクは、トワンと踊る赤い服の女の子を描いていた。そして、「いい音が出ていたねえ」と、さっきまで弾いていたバイオリンを褒めてくれた。ガハクもギターで同じ曲を練習している。リズムとノリが体に入れば、何とかなるだろう。そして、いつかはあの艶やかな紡錘形の音色が出せるようになりたい。そしたらその時、彫刻だって月のように輝き出すだろう。(K)