黒御影石のキン、、キン、、、と鳴る音がこの庭に初めて響いた。この音はずいぶん遠くまで届くらしい。自分の出した音は、誰かの耳に届いて、また自分に戻って来る。
「あゝやっぱりあなたでしたか。」と、船越先生に言われたことがある。ノミ音は一人一人違うんだ。誰が聞いているか分からない。
庭の隅で私の自転車のシフトレバーとケーブルを調整してくれていたガハクが、
「黒御影石の音はやっぱりいいねえ」と喜んでくれた。
横に突き出て飛び出していた長いシッポをハンマードリルで割って切り落とし、半月形に彫り直した。大まかな形が出来たところで仮セッティングをしてみたら、ピッタリ合った。
ぴたっぴたっと決まって行く。この必然を説明しても、誰にも分からないだろうな。(K)