こういうちょっとした草むらの花が描けるようになったガハクは、どこにこういう花が咲いているかを知っている。ここは、森の切れ目の日当たりがいい場所だ。
「僕が変わったのは、死にそうになったのに生き返ったからだ。前は自分で生きていると思っていたけれど、今はいろんなものに生かされていると思うようになった」と言う。
この1ヶ月毎日アトリエの解体作業に勤しんでいるガハクは、(これまでもずっと一緒にいろんなことをやって来たけれど)ほんとに愉快そうにやっている。ツルハシを振ってもぜんぜんへこたれないし。どこからあんなパワーが出て来るんだろう?
「どんなに疲れても、ちょっと休むとまた元気になるよ」と、自分のペースを掴んだようだ。
生命力というものは、内側からも外側からも注ぎ込まれるけれど、受け取る側の用意がなければ通り過ぎていくだけだ。春はそういう季節だ。(K)