「やっと絵らしいことが出来るようになった」と言う。山に起こる現象が画家の中に入って、一体どのくらいの月日が経てば絵の中に現れるのだろうか?
ガハクが初めて山登りをしたのは高校生の頃だ。南アルプスの前衛の山に一人で出かけて、下山途中で道に迷ってしまった。仕方なく一晩山中でビバーク。家の人はさぞ心配しただろうと思ったが、ガハクの父は「明日になれば帰って来るだろう」と、慌てずに待っていたらしい。
冒険は出かける人と、帰りを待つ人のチームワークで成り立っている。そうでなきゃ、ただの放浪だ。報告を待っている人がいるということが彼に勇気を与えている。愛されたことのない人が挫けやすいのは、そういうことだ。死んでもいいと思って出かけるのは、冒険とは違う。見て来たことを話してくれなきゃ♪(K)