王子の傍にいつもいる二人の守護神は、男と女のカップルのようだ。みんな大きな目をしている。「おいでください」と夢で呼ばれたあの夜から、ガハクはこの王子を 親友で画友だったS氏に重ねてイメージして来た。山で死んでからも、彼はずっと向こうの世界で生きていて、しかも王子になって帰って来た。
この世で純粋な美を希求することは不可能なんだろうか?独りでやるしかないのだろうかと覚悟した時に、一緒にやろうよと誘ってくれた王子は、続けて言った。「あなたは私たちのシュゾクです」と。
今ガハクは、善と美が一致することを確信している。それはきっと、超重症という魔界から救出された時に見たこと体験したことに起因する。もう懐疑的な霊達は、いなくなった。重く引き摺り下ろそうとする者らが、消えた。
軽やかに舞うミューズと小鳥たちが祝福している。(K)