2021年1月18日月曜日

箱ジャッキ

久しぶりに箱ジャッキを使った。隣家にやって来た庭師の軽トラ4台が、仕事を終えて帰ろうとして次々とバックで降り始めた時の出来事だ。たぶんもう疲れてたのだろう。シルバー派遣のお爺さん達だもの。皆私より年上に見えた。

この箱ジャッキは10t用でかなり重い。一人で運ぶのはお相撲さんかレスラーでないと無理だろう。アトリエから引きずり出したら、すぐに庭師が駆け寄って来て手伝ってくれた。最初は私とお爺さんと二人で、それから途中で交代して運んでもらったのだけど、あまりの重さに片方のお爺さんが転んでしまった。そのくらい重いのだ。

藝大にだって5トン用のしか置いてない。何で私がこんな大袈裟なものを持っているかと言うと、大学に出入りしていた御用商人に「もう箱ジャッキの作り手がいなくなるから、今のうちに買っておいた方がいいですよ。やっと店に10トン用が一つだけ入ったから今のうちに!」と唆されて慌てて買ったのだった。

箱の中にギアが幾つも噛み合って、少ない力で大重量のものを持ち上げる仕組みになっている。ハンドルを回すと、箱の頭に突き出ている角がジリジリ上がる。裏側の足元に出ている爪も同時にせり上がって行く。爪に石の端っこを噛ませて、ぐいぐい持ち上げては角材を差し込み、また持ち上げては横に角材を置くと、どんなに大きな石でもひっくり返せる。危険を回避する為の技術と目と慎重さがあれば、女の私にだって巨大な石も動かせるし、脱輪したトラックだって救出できるのだ。

お爺さん達を指示しながら、浮き上がったタイヤの下に角材を押し込んで、無事に脱出した時は拍手が湧いた。良かった良かったと笑って別れて、トタン板をゴミに出す為の作業に戻った。

しばらくしたら、「奥さん、奥さん!」と声がする。落ちた車の持ち主のお爺さんが、手に千円札2枚持って立っていた。どうしてもと言われて、ありがたくいただいた。まだ私は現役なんだな。アドレナリンが久しぶりにブワーッと出たもの♪(K)



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