ガハクは「こんな綺麗な色が出せるとは思わなかったなあ」と、喜んでいる。描きながら感動すると言うことは、実際にあるんだ。
今日は、丸鋸で切った廃材を紐で束ねた。薪ストーブだけでは処理が間に合わないから、燃えるゴミにも出して行こうという計画。畑の柵やネットの固定に使っていた鉄の棒やアングルも、グラインダーで50cmにカットした。こっちは月一で回収される不燃ゴミに出す。トタン板も50cm角に金切り鋏で切り、四隅を折り曲げておいた。以前、ゴミ処分場に直に搬入した際に、手伝ってくれた係員のオジさんが腕を切っちゃって、申し訳なかった。だから今は、金属物の端っこはバリを落とすか、ガムテープを貼るようにしている。
ぴゅっと血が吹き出たオジさんの腕にマーキュロバンを貼ってあげたら、それまで乱暴な物言いをしていたのに、急に恥ずかしそうに照れていたのが新鮮だった。あの人の住んでいる世界、生きて来た世界を垣間見たように思った。タオルで止血したのをガハクが鮮明に覚えていた。あゝそうだったっけ。もう30年くらい前だ。
6という数字は試練を表す。とすれば、アトリエの土地を借りた36年間は試練に試練を掛け合わせたと言うことになるのね。日々刻々と荷物を運び出していると、一つ一つ重いものが無くなって消えていくのが分かる。軽やかさは、試練と労働の果てに与えられるもののようだ。(K)