トワンの鼻を彫っていて気が付いた。いい形になって来たなと思った時に、鼻がふっと浮き上がって見えたんだ。鼻だけが空間に浮遊している感じ。
スエデンボルグが面白いことを書いていた。耳は、音のするところに出かけて行くと言うのだ。トワンが耳を澄ましている時、間近にその実態を見ていたということになる。
目もそうだ。見たものに感動した時、目はそのものに触れんばかりに近づいている。雲の間を飛べるようになったからこそ、ガハクは雲が描けるようになったのだ。
ウォーコップによれば、光というものは無いという。遠くにライオンを見つけたシマウマは、その距離からして今は危険はないと見て、安心している。(『ものの考え方』O・S・ウォーコップ)
ライオンを見ているだけか。今を生きるものたちの器官はいつも冷静で正常に働いている。(K)