トワンの肩口には羽が生えたようにピンと立った毛並みの稜線があった。首から流れ落ちる毛と、肩から生えている毛がぶつかってそうなるのだ。
ふさふさの胸だったなあ。その形は、思い出そうとしなくても目の前に浮かんで来る。
覚えているものなんて、ほんの少しだ。そういう状態のときは手探りで進むしかなく、最後の仕上げは捏造になる。でも、愛しているものだったら最後まで彫れる。自ずと内側から現れて来るから、それをくっきりと彫ればいいだけだもの。そういうのが彫刻。(K)