2020年12月31日木曜日

『アンドレ・ルブリョフ』

 タルコフスキーの映画5本目にして、涙してしまった。しかも最後のシーンで。それまでは戦争や教会の因習に縛られた世界の重苦しい場面が続いていたので、目を覆うことはあっても、ハンカチは要らないと思っていたのにだ。報われない熱意、理解されない意欲、もっと言えば動機が違うと言うところが周囲には全く見えていないんだな。

人が他人のためにやることが社会を作っているわけだけれど、人が神のために動かされた時に何がそこから生まれるかは予想できないものなんだ。出来上がるまで待ってやらないと、途中で横道に逸れてしまう。中断したり立ち止まったり動けなくなったりしながらも、ずっと最初の動機が忘れられずにその人の中の意欲を動かし続けて行くものなのだ。

アンドレ・ルブリョフという画家が描いた壁面の絵が(そこだけ)カラーで映し出された。中世の率直な表現は線がシンプルで、生身の感情に満ちている。動物たちが可愛らしいのだ。トワンによく似ている馬や犬。「愛がなければどんなテーマだって描けやしない」と言うアンドレと同じ言葉をよくガハクからも聞いている。それは、描くことが愛することに等しい時代のイコンだった。(K)





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