12時過ぎにアトリエに着いた。自転車を壁に立て掛けドアに近づいたら、足元に一枚の羽が落ちているのに気が付いた。軒下の真ん中で、ちょうど雲間から出て来た太陽に照らされてキラッと光っている。何の羽だろう?鳩にしては少し大き過ぎるから、アオサギかもしれない。
すぐに、映画『ノスタルジア』の中の一場面が浮かんだ。(主人公の詩人が僧院の周りに広がる野原を歩いていると、空から一枚の白い羽が降ってくる。拾い上げて辺りを見回すと、遠くに翼をつけた天使がいて、ゆっくり小屋の中に消えた。頭痛でもするのか、男は頭に手を当て、何かが鎮まるのを待っている)暗示的なプロローグのシーンだ。でもその小屋は、最後のシーンに再び出てくるんだ。
二人の人間が全く同じ夢を見るということがあるだろうか?狂信者と詩人は夢を共有した。
そんなことを考えながら羽を拾い、少し夢見心地でアトリエの鍵を開け、大理石像の間を歩き、机の引き出しから白いコピー用紙を出して、その上に羽を置いた。いつものように筋トレから始めて、ガハク像の胸を砥石で磨き、それから犬も彫った。羽を拾った時だけ晴れていて、後はずっと曇り空の1日。暗くなる直前の17時に帰宅。自転車では昼間しか走らないことにしたんだ。(K)