2020年10月16日金曜日

大きな目のシュゾク

 大きな目をした人たちが夢に出て来てガハクに話しかけた。まっすぐ強く見つめて来たあの目のことは、何年経っても忘れようもないだろう。夢の中で起きたことは、現実にも起きる。

山を歩いていると、突然ぴゅーっと近くで鹿が鳴く。ガハクが驚いて飛び退くと、鹿も慌てて斜面を駆け登る。その時の鹿の目は、命そのものを生きていて何も考えていないような、澄んだ大きな目をしていたはずだ。

言葉を弄して語るほど目は汚れていく。反語を繰り返すうちに宙ぶらりんになって不確かなことしか言えなくなる。天にも地にも触れることのない幽霊の足。だから子供は目をじっと見る。大人の目を覗き込む。この人を信頼していいかどうかを知る為に。

大きな目のシュゾクは真実を見つめる目を持っている人々のことだ。(K)



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