2020年8月5日水曜日

独り立ち

夏の始まりの日に ガハクは山で、枝に留まったままじっとしている小鳥を見つけた。ケガでもしているのかと心配になって、かなり接近してみた。頭に白いぽしゃぽしゃの綿毛のような羽が生えている。まだ子供だ。

君は誰の子?ガビチョウにしては色が黒いね。尾羽が無いのもおかしいなあ。これから生えてくるのかい?コジュケイとかヤマドリだったら、もっと大きいはずだし。でも、カルガモだって子供の頃は小さいか、、、

もっとよく見ようと後ろに回ったら、突然パッと飛び去った。
なんだ、飛べるんじゃないか!

巣立ったばかりだったのだろう。森の梢でじっと周りを見渡して、その瞬間を狙っている。いや、狙ってなんかいなくて、じわっと湧いて来るエネルギーが身のうちに充満するのを待っていたに違いない。蝉だってそうだもの。柔らかな薄緑の透明な羽がどんどん色が変わっていく。そして、いよいよ飛ぶ瞬間が近づくとコチッとした金属質の羽になる。そういうことが人間にだって起こるはずだ。(K)


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