朝からぐんぐん気温が上がった。長かった梅雨から一気に真夏の太陽の下に放り出されたら、いくら意志の強いガハクでも参ってしまう。昨日は夜になっても帽子を被っているみたいに頭がぼんやりすると言っていたので、版画室から机を転がして冷房のある油絵の部屋に移動することを提案したら、素直に実行したガハク。もう以前のようではない。何が大事で、何がどうでもいいことか、すっかり分かっちゃったみたいだ。
「気持ちがよかったよ。楽しくてすごく仕事ができた」とのこと。初めてのことだ。ずっと扇風機で頑張って来たのは、誰に頼まれているわけでもない仕事に冷房を使うのは、世間に申し訳ない気がしていたからだそうだ。
『仕事』という言葉は画学生の頃、皆が使っていた。それをときどき笑う人がいる。彼らは知らないんだ、仕事の真の意味を。だから金が稼げなくなると軽んじられ、自らも堕することになる。コロナは戦争を無くして、貧困の真実を知らしめ、命あっての物種だということを教えてくれた。(K)
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