2020年6月27日土曜日

版画室21時

夜になっても2階は暑くて、扇風機が回っていた。
クッサンに載せた銅板をゆっくり回しながら彫っているので、きっと背景の円弧を彫っているのだと思って近づいてみたら、ひらがなの一文字だった。ビュランを握る右手は力が入り易い一方向へ固定しながら押していて、左手で持った銅版の方を 回転させたり、斜めに傾斜させたりしていた。

両手のコンビネーションが面白くて感心しながら眺めていると、
「いやあ僕なんかまだ下手だよ。ブレイクはもっとスムースに軽やかに彫っていたんだろうなあ」と、古の人のことを親しく語るガハクである。
 窓の外からガマガエルの声が聴こえて来た。線路脇の側溝で鳴いているのだろう。(K)


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