翼というのは、体の中心からしっかり生えていて、肩甲骨から肩に沿って流れ、腕に繋がっているものなんだ。こういう認識が降りたのは、ゆうべガハクが励ましてくれたおかげだ。
「若い頃の作品にあった抽象性が、きっとまた戻って来るよ」と言われたのだった。最近ガハクの言うことに、よく耳を傾けるようになった。霊感ある人の言葉は予言だものね。
夕方になって外で焚き火が始まって、やがて筍を煮ている煙が漂って来た。それは寂しく侘しい臭いだったが、開け放したドアから見える山の緑の方が圧倒していて、ずんずん彫れた。
自転車で薄暗くなった道を走り出したら、ドッと突風に押された。尾根の向こうは雷雨のようだった。降られないうちに家に着けるようにと、ペダルをぐんぐん漕いだ。家に着いたら、雨が通った跡が残っていた。いつも雨から逃げるように走っていたのだけれど、今日は雨を追いかけたみたい。(K)
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